食科学大学リポート2012 vol.1 「食科学大学とは?」

トップページ食科大学リポート > 食科学大学リポート2012 vol.1 「食科学大学とは?」

更新日:2012:01:30

食科学大学リポート2012 vol.1 「食科学大学とは?」

執筆者 sfj_staff2

  • Piemonte pollenzo食科学大学より

 

はじめに

イタリアはピエモンテ州ポッレンツォという小さな村に、「食科学大学」(University of gastronomic sciences)という、スローフード協会本部によって設立された教育機関があります。2004年創立ということで、大学としては歴史が浅く、日本人の卒業生も20名未満。英語、イタリア語のバイリンガルのホームページはあるものの、なかなか日本語での情報を得る事が難しいのが現状です。現役の学生であるという私の立場から、大学のタイムリーな情報を少しでも多くの日本人に知って頂ければと思っております。

 

何故入学したのか?

私のイタリアという国への興味関心が深まるきっかけとなったのは2007年のゴールデンウィーク休暇でした。東京の忙しい一会社員だった私は、「明るくて、美味しい食べ物と、美しい自然がある場所」を休暇先としてイタリア最南端の島、シチリアを訪れました。お酒が好きな私は、マルサラ酒のワイナリーを訪問するつもりだったのですが、往路の電車の中で若い地元お女の子と友人になり、以後、あるイタリアの家族との交流が始まりました。彼らの生活は、まさに絵に描いたようなシチリアの田舎暮らし。畑を耕し、自宅でパンを焼き、近所の仲間と食卓を囲む。地産地消が根付いた生活スタイルは、彼らの強い地元意識、共同体意識(イタリア語ではcampanismo(愛郷心)といいます)を形成しています。伝統的な食文化を守ることは自分達のアイデンティティーを維持するということを目の当たりにし、彼らのメンタリティーに大きな関心を持ちました。実に、幸せそうだったからです。

これまで私は人生の殆どを東京、大阪、香港といった大都市で過ごし、世界中の食べ物を経験する機会に恵まれ、地域コミュニティーへの帰属といったことを特に意識する必要はありませんでした。グローバリゼーションの恩恵を被って暮らしていたということです。効率、利益至上主義の会社員生活を一旦退いて「イタリア人的甘い生活」の知恵を学ぶことは都会人として決して無駄なことではないのではないか?意義深いことなのではないか?そんなことを考えて、私はこの大学院にやってきました。

 

大学のカリキュラム

私が昨年2011年11月から通っているのは、食文化とコミュニケーションについての修士号を取得する大学院野コースです。(Master in food culture and communications)履修期間は1年で授業は英語で行われます。私のクラスメートは27名。世界16カ国から来た、様々なバックグラウンドを持った学生が集まっており、国際色豊かな学生生活を送っております。因みに、学部生のコースは3年間の履修期間で主にイタリア語で授業が行われているため、イタリア人以外の外国人比率は大学院と比べて少ないようです。

授業形式は主にポッレンツォのキャンパスでの座学と、イタリアと近隣のヨーロッパ諸国への年6回の研修旅行、2ヶ月間のインターンシップから成ります。各科目の筆記試験、口頭試験、インターンシップの最終報告論文全ての単位を取得すれば、晴れて修士号を得ることができます。

食科学大学で学ぶガストロノミーの特徴は、その学際的な科目構成にありあす。食物に関する歴史学、メディア学、社会学、人類学、政策学といった社会科学系の科目と、味、匂いなどの構成要素を学ぶための化学、加工食品の生産理論を学ぶための生物学など自然科学系の科目。それら座学で得た知識をもとに、イタリア内外の食品生産者(ワイン農家、畜産農家、チーズ、ハムなど伝統的加工食品生産者など)を訪れ、実際に「味わう」ことを通して更に理解を深めます。このような総合的なアプローチによって「おいしくて、きれいで、正しい」食文化を追求していくことが食科学大学の一番の特色なのです。

 

寄稿者プロフィール

三好曜子(みよしようこ)

2011年11月より食科学大学

大学院にて、food culture and communicationの修士号を取得中

イタリア ピエモンテ州ブラ在住

●大学院への出願方法など、詳しい最新情報はこちらから。

http://www.unisg.it/

 

サヴォイヤ王家の城であった「ポッレンツォ城」を改造して出来た校舎は

ユネスコの世界遺産に認定されている。

 

図書館では、スローフード協会の刊行物や食文化に関する本を閲覧、借りることができる。

 

 

昼休み、天気が良ければ中庭で日向ぼっこしながらランチをするのが大学院生の定番。

食科大学リポート記事一覧に戻る

関連する記事一覧記事

人気の記事