スローフード協会 国際理事会リポート SFJ副会長石田氏より
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スローフードジャパン石田副会長による国際理事会のリポートです。
カルD・ペトリーニスローフードインターナショナル会長の発言を中心にお伝えします。
2012年2月10日から12日
場所 ポッレンツォ、食科学大学 AULA MAGNA
2月10日 プレイベント
国際理事会の前夜イベントは、ロエロ地方のNEGRO社の招待。
当主ジョヴァンニ氏自ら出迎え。
アルネイス、バルベーラ、バルバレスコなどピエモンテの定番に加えて、アルネイスとネッビオーロのスプマンテの評価も高い。
アルネイスは7年間熟成させる特別バージョンが、話題になっている。
世界に知られるイタリアの白ワインは数えるほどしかないが、ここのアルネイスは高品質で広く知られている。
http://www.negroangelo.it/web/

思いがけずドイツ駐在になった、本部スタッフのヴェロニカ・ヴェネツィアーノの通訳で醸造所を回り、
極寒の工場で凍えながら社長の長い説明を聞く。
工場の大扉はすべて職人の手作りで、1枚で家が一軒立つというのが自慢。
夕食が始まったのは9時をゆうに過ぎていた。
奥様の手料理を20人で味わう。
優秀な4人の息子たちと、日本人の研修生難波恭子さんが、次々に当社ワインをサーブ。
2006年から7年熟成する予定のアルネイスを1年早く飲ませていただき、会場はすでに大変な評判。
子牛のツナソース、ピエモンテ牛のユッケなど定番の手料理が続き、メインにはポレンタのついた牛の煮込み。
このポレンタを作っているトウモロコシは、スローフードがプレシディオに選定した「オット・フィーレ(八列の意)」。
日本の八列トウモロコシと同じもの。
ネグロ社はこの地域遺産の保護につとめている。
このポレンタが参加者に大変な評判となり、オット・フィーレ保護運動の意義を確信させた。
デザートは奥様評判のカカオプディング「ボネ」。
ネグロ社は日本へのプロモーションで来日する予定。この日代表団がホテルに戻ったのが0:30。
2月11日
スローフード国際理事会 第一日目
会場はポッレンツォの食科学大学UNISGの新しいキャンパス、カシーナ・アルベルティーナにあるアウラ・マーニャ(大講堂)。
ペトリーニの社用車に載せてもらう。
会長は福島のことが気にかかる様子。
まずは全国紙La Repubblicaの社説で言及する予定。
ピエモンテ州はいままでにない寒さで、マイナス20°まで下がった日があったという。
当日も大変な寒さで、会長のオープニングスピーチは次のような言葉から始まった。
「みんな、ピエモンテの素晴らしい日に来てくれて本当にありがとう」以下サマリー。
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今年の世界大会は協会の重要な時期に行われることになります。
今までの協会の姿を超えた新しいステップを目指します。
人々をさらに感化し、組織的にも刷新されます。
テッラ・マードレを伴う世界大会は、協会にとって歴史的ステップになるでしょう。
比較的西洋主義だった協会は、あと4、5年かけて世界にはばたく服を着る協会に変わります。
スローフードにとって初めての、我々の理想を目指す政策を一堂に会したイベントになります。
テッラ・マードレがスローフードの外に置き去りにされないように。
テッラ・マードレのネットワークは人の輪であり、協会運動そのものを表しています。
テッラ・マードレは5回目を迎えます。すでに10年近い年月が流れました。
私たちの食コミュニティには、スローフードがまだ存在しないところもありますが、スローフードとして行動しています。
テッラ・マードレ・デーをしたり、生産持続性の追求など、ぜんぶ私たちの哲学で活動しているのです。
会員証で形成された協会というよりも、彼らこそが協会の政策ベースとなるでしょう。
イベントは最高のパフォーマンスになることでしょう。
世界大会は政策ネットワークのサマリーであり、その表現となります。
協会のネットワークが存在しないために、まだ会員になっていない食コミュニティがあります。
彼らを会員にする努力をしましょう。
でもアフリカに存在感を示すためにゆくのではありません。
2つの柱を協会内で打ち立てましょう。
それはテッラ・マードレと食科学大学です。
食科学大学の半分の生徒は60カ国から来ています。
最初の1000人ほどの学生が地元に帰って、それぞれの国内ネットワークを強化しているところです。
食科学大学がスローフードの外になってしまうことがないようにしたいと思います。
私たちはテッラ・マードレのもと、多様性という強さをもって、アイディアや政策的・文化的プロジェクトを融和してゆくのです。
それによって「Globalizzazione Virtuale倫理的グローバリズム」を実現するのです。
昨日配布したドキュメント「食の中心的役割について」を普及させてください。
これを聖書のように扱うのではなくて、政策的・文化的なものとして使ってほしいのです。
良きアイディアの流れはありますが、それを体系化することが大切なのです。
「おいしい、きれい、ただしい」は、今や他の人も使うモットーになりました。
この書類をもとに地域の力でどこででも議論してください。
みんなで読んでください。
「食の中心的役割について」は、食育や生物多様性の保護など、我々の運動のエッセンスであり、運動を特徴づけてくれるものになります。
この考え方は、いままでは周辺的な話題でしかなかったものですが、今はすべての人の遺産となることでしょう。
アルチ・ゴーラからスローフードに至る30年の歴史の中で、スローフードは「喜びの権利」「ガストロノミーの尊厳」などを提案し、食コミュニティは自分の生産物に対して誇りをもつようになりました。80年代には良いチーズが大聖堂と同じ価値があるなどということを言う者はどこにもいなかったのです。
グルメが政策を提示しながら、ガストロノミーに言及しないなんてありえません。
私たちがこれからやろうとしていることは、いわゆる第三世界主義者のものではありません。
私たちは前衛であることを恥じてはいけません。
むしろ人々に認識されないようではいけないのです。
各協会の中で行われている晩餐会で、環境持続性やテッラ・マードレが語られているでしょうか。
レストランで何も語られていないのではないでしょうか。
私たちが提唱するのは「食の権利」です。
それによってグローバル世界が、持続性の欠如という問題に対して、大きな変化をすることを希望します。
華やかな晩餐会の残り物をあさる人々、テーブルの下で何かを求める人々がいるのです。
これをこれから20年かけてテーマにしたいと思います。
自由のための戦いをするにも、まずは食べなければいけないでしょう。
私たちはホリスティックな(包括的な)ガストロノモになります。
鞄の中に入っている物を何一つ捨てません。
「喜びの権利」も。
だからといって偏執狂的になってはいけません。
私たちが基本的に目指すのは、食を楽しむということです。
喜びを共有するのがグルメであれば、私たちは政策をもったグルメでありたいと思っています。
ミシュランのレストランにも喜びはありますが、アフリカを私たちの友人たちきちんと見据える能力が必要です。
私たちのアフリカ政策は、デコロニー(脱植民地主義)なものでなくてはなりません。
つまり自分の土地では自分の好きなものを楽しむ権利があるということです。
彼らに西洋の型を押し付けてはいけません。
世界大会は、生物多様性を360°感じられるようなものになるでしょう。
プエブラでは50カ国だった参加者が、トリノでは100カ国になります。
テッラ・マードレの食コミュニティが多く参加することでしょう。
まだ会員になっている者は少ない現状がありますが、彼らが中に入れるように働きかけましょう。
コンヴィヴィウムを作るのに高いハードルを設けないように。
尿検査したり血液検査したりしても仕方がないでしょう。
私たちはカトリックでないのです(会場笑)。
私たちが目指すのはAustera anarchia (統制された無秩序)です。
あと8ヶ月でこの書類を広めてください。
「食べる権利」を規約書にも盛り込みます。
大地と水と空気の豊かさを求めましょう。
世界の災いの最も多くの部分は、食べものの生産によって、化学物質や大規模輸送によってもたらされているのです。
環境政策において明確なビジョンを示しましょう。
地域の美しさとは何でしょう。
農業から語られがちではありますが、それはまず人の美しさ、人間性の美しさなのです。
ヒポクラテスが近代医学の父といいますが、最初の薬は食べ物なのです。
そうそう、日本でも言っていた…… 石田が何か教えてくれるかもしれないんだけど… 誰が言ったのか?
石田(スローフードジャパン副会長): 誰が言ったかは分からないのですが、日本では「医食同源」と言います。
そうそう、イショクドウゲンだ。
食は教育などを通した共生的行動であり、健康を害するような喜びではいけないのです。
アフリカには奴隷化された農民がいるのです。ブルキナファソでトマトを育てる農民など。
環境上の無駄、ガストロミー的無駄、エコロジー危機における無駄をなくすための運動をしましょう。
残り物料理には素晴らしい生物多様性が見られます。
リボッリータ(トスカーナの田舎スープ)をフレッシュなパンで作ろうとする人はいないでしょう。
アニョロット(ピエモンテの小さなラビオリを入れたスープ)も1週間前の残りもので作るのです。
インドのボンベイやバウワウには、近代社会の産物だけではなく、歴史に裏付けられた創造性があります。
恒久的な食育を目指しましょう。
それは女性の知恵なども評価するもので、あまり固まった制度にしないように。
これについてはDe-istituzionalizzazione脱制度を掲げたいです。
世界ではLand Grabbingなどに代表されるような、新しい植民地主義が始まっています。
アフリカで活動する主体は、私たちではありません。
宣教師のよううなアプローチでも、アフリカ人に教えに行くNGOでもありません。
リーダーはアフリカ人であり、アフリカ人が選ぶのです。
積極的に活動して下さい。
PACへの提案書もすでに20カ国語に翻訳されています。
今から10月のイベントまでに各地で良く議論をしてください。
議論がないのは貧しい運動です。
今までも議論は少なかったと思います。
私たちは国際運動であり、この世界で強い力を持っています。
テッラ・マードレも機能しています。
バミューダパンツではなく、新しい心地よい服を着ましょう。
今までのテッラ・マードレを超えたイベントにしましょう。
世界大会では新しい国際理事グループ、新しいゴヴェルナンスを作ります。
それはもう各国からの代表という選出法ではなく、国際協会を統括する実質的なグループです。新しい会員制度についてはそれぞれの地域でベストな方法を模索してください。
そうそう、会長は協会を後にすることをやめようと思います。
ロベルト・ブルデーゼ(スローフードイタリア会長): 会長がやめない理由の説明もしなくてはいけないのでは?
「船長は最後まで船を離れるべきではない」
(最近起こったトスカーナの大型観光船の座礁で、船長がまっさきに逃げた事件を揶揄しているのが面白かったので、会場は大爆笑)
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晩餐会は近郊のピオッツォにあるマイクロブリュワリー「バラディン」醸造所を訪問して、社長自ら並々ならぬビールへの情熱を熱く語ってもらった。
すでにイータリーを通して東京にも卸している。
サッシカイアなどの著名ワインの樽でビールを熟成したり、原料を高度に吟味することで他社にない特徴的な味覚の高品質ビールを実現している。
ピエモンテのリンゴとフランスの技術によるシードルも評価が高い。
ピオッツォの本社にはホテルとレストランが併設された。
晩餐会はこのレストランにて。
会長も上機嫌で大いに盛り上がった。
ここの料理はすでに評判が良い。
また予定を大きく過ぎて真夜中にホテルに戻る。

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