食科学大学リポート2012 vol.3 「味覚教育の授業」

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更新日:2012:04:05

食科学大学リポート2012 vol.3 「味覚教育の授業」

執筆者 sfj_staff2

● Piemonte pollenzo食科学大学より

食科学大学の味覚教育
大学院生活の中でも、食いしん坊の学生達が特に楽しみにしているのがテイスティングの講義。
一年間で私たちが教室で頂く食品は主に欧州で生産されたチーズ、サラミ、生ハム、ワイン、チョコレート、ビール等々。
生産方法を化学、生物学の知識をベースに学ぶ「Food technology」の講義に加え、生産方法による味の違い、味覚の理論などを体系的に学びます。
また、味の違いを識別するだけでなく、手作り、大量生産の製品の品質の違いも識別するということも講義の大切な目的です。

自分の感覚を言葉にして、共有する
講義では、甘い、辛い、しょっぱい、酸っぱい、苦い、美味しい、不味い、など舌の上で感じる味(taste)だけではなく、食べ物の匂いないしは香り(smell or aroma)、そして食べている最中の風味(flavor)、食べた後の後味(after taste)などを識別し、表現することを学びます。
例えば、チーズのテイスティングの授業での評価項目は下記のように細分化されており、一つのチーズから得られる情報量の豊富さを体感しながら学びます。

 

18種類のチョコレート。製造過程、カカオバターの有無、カカオの種類による味覚の違いを体感。

 

オリーブオイルのテイスティングは、林檎の酸により口中の油分を落としながら行う。

 

ワインの熟成期間、熟成する容器の種類、葡萄の品種などによる違いを嗅ぎ分ける教授

 

《視覚的な情報》
形、表面の状態および色、チーズの中身の色、カビの状態および色、チーズの穴の有無および分散状態
《嗅覚的な情報》
匂いの強度、匂いの感覚の種類(※)
《味覚的な情報》
味の強度、味、口に入れた際の香り(嗅覚的情報とは区別)、口の中での感覚(収斂感、ピリっとする感覚など)、口当たり(テキスチャー)
なかでも学生達が苦戦し、おおいに盛り上がったのは匂いの感覚を口述するというプロセス。
トースト、動物、スパイス、発酵、酪乳、野菜、果物などの「匂い群」を識別し、更により具体的に「生の牛乳」「茹でたカリフラワー」「肉のブイヨン」など出来る限りの匂いの要素をクラスの中で発表、共有していきます。
講義の初日は、次から次へと匂い要素を言い当てる教授に圧倒されていた学生達ですが、次第にそれらのボキャブラリーを共通言語として身につけて行く事が出来るようになっていきました。
感覚的なことを言語化するには、訓練が必要なのです。

五感を研ぎ澄ますということ
日本人と比較して、イタリア人は食べ物について熱っぽく語り合うことが大好きな人が多いようです(そもそも話すのが好きな人種であるということも大きいですが)。
例えばイタリア語にはワインのアロマを表現するボキャブラリーが豊富ですが、アロマを認識できるという感受性が無ければ、それら豊富なボキャブラリーを使いこなすことはできません。
識別のためには、本物の匂いを嗅ぐという経験が必須です。都会で暮らす人間にとってそれはなかなか容易なことではありません。
以前、テレビであるイタリアのワイナリー一家のドキュメンタリー観ました。
父親が子供達に赤ワインの香りを嗅がせていたのですが、わずか5歳程度の可愛らしい娘の反応に驚きました。
「バラの花を揉んで、手の中で開いたときの香り」と表現していたからです。
幼少期から自然に親しむ中で、ソムリエ顔負けの五感と表現力が育まれていたのかもしれません。

 

寄稿者プロフィール
三好曜子(みよしようこ)
2011年11月より食科学大学大学院にて、
food culture and communicationの修士号を取得中
イタリア ピエモンテ州ブラ在住
●大学院への出願方法など、詳しい最新情報はこちらから。
http://www.unisg.it/
●大学院生活に関する日々のつぶやきはこちらから。
https://twitter.com/#!/YokoMiyoshi

 

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