食科学大学リポート2012 vol.4 「ブラで暮らすということ」

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●Piemonte pollenzo食科学大学より

Citta Slow(チッタ・スロー)

食科学大学の大学院生のほぼ全員が、キャンパスのあるポッレンツォから車で10分程度のブラという小さなまちに暮らしております。
大学が保有しているアパートで暮らす学生が8割、残りの学生は個人で大家と直接契約して下宿生活を送っています。
1998年に、イタリアではスローフード運動から派生し新たに「Citta Slow」(ゆっくりとしたまち)という運動が始まりました。
自然、地域、人を大切にし、ゆっくりと暮らすことが出来るまちづくりを提唱しており、ブラはその概念に当てはまるまちとして認定されております。
http://www.cittaslow.org/network/location/175

ブラは、スローフード運動の創始者カルロペトリーニの故郷。
「Buon vivere」(良く生きるということ)が、ここでの暮らしの大きなテーマです。

 

「無くて当たり前」な生活

ゆったりとしたテンポのブラ生活。
殆どの商店のお昼休みは、12時から16時近くまで。
お店が再開しても20時半には、またお店が閉まってしまいます(勿論、日曜日は終日お休み)。
お昼の時間になると、たちまちブラの中心部は閑散としてしまうのですが、夕方になるとまた喧噪が戻ってきます。
ほぼ毎日、この状態の繰り返しです。消費者ありきではなく、生活者ありき、のまちなのです。
まちには大手のスーパーマーケットもありますが、まだ個人商店が多く残っており、週に何度か開催される朝市で生産者との会話を楽しみながら買い物をするという人も多いです。
私がブラで暮らし始めた頃は、いちいち肉屋、八百屋、酒屋と点々と買い物をするのが酷く面倒に感じたものです。
が、少し顔見知りになると勘定をまけてくれたり、気の利いた挨拶をしてくれたりするようになり、少しずつ生活者ならではの醍醐味を感じる事が出来るようになりました。
ブラでの生活は、私が東京で享受していた類の便利な生活では決してありません。
異なるライフスタイルを自分がどう受け止め、どうやって自分のものにしていくのかということは留学生にとって想像以上に大きな課題ではないでしょうか。
長年身に付いた慣習から抜け出すということ、今まであったものが無くて当たり前の環境に身をおくことは、大人の私たちにとって容易いことではないからです。

 

 ブラの街並み。スローフード協会本部(写真右カタツムリのマークが目印)も、歴史的景観の中に違和感なく馴染んでいる。

 

小さなコミュニティの一員

ブラは人口僅か3万人弱、中心部は30分程度でぐるりと歩いてまわることができる規模。
大学院のクラスメートは、いわば小さな村の中で生活をしているようなものです。
ふらりと外に出れば、知り合いとすれ違い、バールに行けば馴染みの顔ぶれ。
家に帰っても、個室はあるものの、ダイニングキッチン、バストイレはクラスメートと共有。
常に、緩やかに誰かと繋がっているような暮らしなのです。
自由きままな独り暮らしが長かった私は、この小さなコミュニティ暮らしに当初は違和感、閉塞感のようなものを感じたものです。
しかし、オープンマインデッドなクラスメートのおかげで、同じ境遇同士の学生が皆で緩やかに「生活を楽しむ」というスタンスを身につけて行くことが出来ました。
また、観光客ではなく、まちの住民になるということで体験できる食文化も食科学大学の学生ならではの特権であるといえるでしょう。
何よりブラは、ワインの王様バローロ、女王バルバレスコなどイタリアワインを象徴するワインの産地に囲まれ、トリュフ、チーズなどピエモンテでも最高の食材の宝庫です。
季節の移ろいと共に、それらの食材を地元のワインと共に楽しみながら仲間と語らう時間はこの上なく贅沢なもの。
何より忘れる事の出来ない学生生活の思い出になることでしょう。

 

学生もよく来るバール。夕方、軽く食前酒とオリーブなどのおつまみを食べながら過ごす「アペリティーボ」はイタリアならではの社交慣習。

フランスで修行経験のある元料理人のブラジル人のクラスメートが、鶏肉のワイン煮込みを作ってくれたある日の晩餐。

 

寄稿者プロフィール

三好曜子(みよしようこ)

2011年11月より食科学大学大学院にて、

food culture and communicationの修士号を取得中

イタリア ピエモンテ州ブラ在住

●大学院への出願方法など、詳しい最新情報はこちらから。

http://www.unisg.it/

●大学院生活に関する日々のつぶやきはこちらから。

https://twitter.com/#!/YokoMiyoshi

 

 

 

 

 

 

 

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